活字と越冬

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【ヤバい小説】筒井康隆の短編『中隊長』を読む【ネタバレあり】

今回紹介するのは筒井康隆の短編『中隊長』。
新潮文庫の『エロチック街道』の巻頭に収録されています。

エロチック街道(新潮文庫)

エロチック街道(新潮文庫)

短い話なので1〜2時間もあれば読み切れます。
そしてなんとこの作品無料で読めちゃいます
Kindleのお試し読みでね。
(巻頭にあるから丸ごと読めるのだ)
Kindle端末を持ってなくてもスマホにKindleアプリをダウンロードすれば読める。
なので、興味があったら是非。
まあこの記事読んで面白そうだなと思ったら読んでみておくれ。

ちょっと冒頭だけ引用します。

自分はいつも馬に乗る時さかさにまたがってしまう。

序盤からだいぶパンチが効いている(笑)

かなりトリッキーな書き出しです。
「そんなことある?」って思わず心の中でツッこみたくなる。
しかも「いつも」って(笑)。
一応、中隊を率いて行軍する歩兵の中隊長なんですぜ、この人。
「馬乗れない」ってふざけてるとしか思えないっすよね。

この小説は、ほとんどこの(中隊長)の独白で占められています。
主人公が脳内で考えてることをズラズラ〜っと述べてるだけの作品なんですよ。

こんなかんじで。見て。



改行もないし、句点もない。地獄みたいな文章。読む気失せます、フツー。

ただ、騙されたと思って読んでみてください。

めちゃくそ面白いんです、この小説。



まずね、ほんとこの主人公(中隊長)がダメ人間なんです。
でも、憎めない系のダメ人間で。


笑えるのが、わりと「馬に乗れない自分」について本気で悩んでいるところ。


あっ、 こっから先は少しネタバレも入るので、まだ読んでいなくて内容知りたくないって人は読まないほうがいいかも

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で、やっぱし馬に反対にまたがっちゃうんです、中隊長。
そして反対に乗ってしまったあとで自分の部下(伍長)が変な目で自分を見ていないかをしきりに気にするんです

馬に反対に乗ってる状態で「俺のこと軽蔑してるかな」って部下の様子を伺うのです。
シュールすぎでしょ(笑)

そしてそのあとも中隊長は「馬さかさ乗り」を連発してしまうわけですが、そのうち「これだけさかさに乗っちゃってるから『あえて乗ってます』っていう風に装えないかな」と考えます。

つまり場を盛り上げるというか、「わざとさかさに乗ってますよ」的な風に振る舞って、「自分はユーモアのあるおじさんです」ってことにできねえかなって考えたりします。
ほんまもんの阿呆です。
でも、なんか可愛い(笑)

ところで、部下(伍長)が中隊長のことを軽蔑しているかどうか、実際はどう考えているかはこの小説では語られることはない。
さっきも言ったかもしれないけど、この小説は冒頭からラストまで中隊長の思考だけがずらずらーと書かれていて、他人の思考はまったく描かれていないからです。

思えば改行なし、句点(、)なし、というのもおそらくですが、主人公の頭の中でずーっと展開されている思弁をリアルに描くために筆者がわざとやっているのだと思います。
なので、最初はだいぶ読みにくい(笑)のですが慣れてくると、読みのも心地よくなってきます。

よんでいるとこれって(夢の中)なんじゃねえか?って気にもなってきます。
それくらい、地に足がついてなくてフワフワした感じで物語が進んでいくんです。

そして極め付けは行軍中、馬の上でホニャララしちゃうところwww

ホニャララは読んで確かめてください(笑)

久しぶりに活字の本よんで吹き出しました

しかし、こんだけ馬鹿げたことを書いてるのになんか文章がカッコいいんですよね。
シュールレアリズムとかいうらしいです。
よく知らんけど。
筒井康隆さんはやっぱすごい、そう思わずにはいられない作品でした。

また、面白い作品があったら紹介したいと思います。
ではでは〜( ^_^)/~~~